つぶやき。

都内某大学に通う医学生。考えたまま書きます。

1人のヒトとしてコロナと戦う

人間は未知のものへの恐怖心を抱く習性がある。

 

昨年末、中国・武漢で原因不明の肺炎死亡者が多発してから3ヶ月。

今では、1日でコロナという言葉を聞かないことはなくなった。

これが感染症の恐怖。

あっという間に世界に蔓延してしまう。

 

私も医学生として、2020年初頭から新型ウイルスCOVID−19の情報をあらゆる手段を使って追ってきた。

だが、世界で100万人近い感染者を出しているにもかかわらず、未だにこのウイルスの謎は深い。

この春から医学部4年になる自分。

つい2週間前までは正直、都知事がこの頃頻繁に言葉を使う「若者」の1人であった。

もちろん1人の医大生として健康管理には十分に気をつけていたが、年度終わりのシーズン、そして勤務先の塾が1ヶ月の封鎖を余儀なくされ暇を持て余していたこともあり、ある程度自粛はしていたものの少々夜お酒を飲みに行く機会もあった。

 

しかし、都知事からの外出自粛要請、有名タレントの死、止まらない都内の感染者の増加。

1週間前より、私も不要不急の外出は出来るだけ避けている。

 

そして家で過ごす時間が増えた今、未熟ながら1人の医大生として、そして1人の日本人として一体何が出来るだろうかとふと考えた。

今日は思う存分、暇な時間を情報発信に費やそう。

 

 

第一に少ない知識ながら新型コロナウイルスについて、、、

 

ウイルスは細菌とは異なり、感染宿主(生物)がいないと生存できない。細菌の場合、ほかの生物がいない場所でも生存できる。今回のウイルスの場合、基本的に感染宿主はヒトが主で、一部動物にも感染することが判明している。

また今回のCOVID−19は飛沫・接触感染を感染経路とする。

 

つまり都市封鎖を行い、1人1人が接触することがなくなれば、、、

ある程度ウイルスを死滅させることに繋がる。

ウイルスにとっては、ヒトが密集している状態が繁栄のための最大の徳であるのだ。

 

そしてコロナウイルスについて

コロナウイルスは、いわゆる「風邪」の原因の約25%を占めるウイルスで、近年の有名な例で言うと、2003年に中国などで流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)や2012年に中東で感染が始まったMERS(中東呼吸器症候群)などがある。

統計的なデータを見てみると、

SARSの感染者は約8000人で致死率は約10%。MERSの感染者はこれまでに約1500人で致死率は35%である。SARSは既に終息宣言が出ているが、MERSに関しては今でも多少の感染報告がある。

2つのウイルスの感染経路はどちらも飛沫・接触感染で今回の新型ウイルスと同じだが、感染力はそれほど高くなく、MERSに関しては市中感染は認められていない。

 

ここで新型ウイルスのデータをみると、感染者は3/30現在で約70万人、死亡者は3万3000人で、単純計算すると約4.7%である。

イタリアなどでは感染者10万人に対して死者は1万人に及び、致死率は約10%となっている。

つまり、感染力はSARSよりも高いのにもかかわらず、致死率はそれほど変わらない。

 

基本的にウイルス感染症というものは、致死率が高いものほど感染力は低い。なぜかというと、感染宿主のヒトが死んでしまえば、ウイルスもまた生きてはゆけないからだ。

よってここから推測出来ることが一つ。

新型コロナウイルスに感染しているが症状の出ていない者(不顕性感染者)が相当数いる可能性がある。

死亡者数は必ず正しいが、感染者数は必ずしも正しいとは言えない。

そうでなければこの感染力とこの致死率が同時に生まれるはずがない。

 

つまり今この記事を書いている自分も、そしてこの記事を読んでいるあなたも、あなたの隣にいる家族も友人も、気付いていないだけで感染している可能性はかなり高い。

今でも毎日のように電車通勤を余儀なくされている人や、毎日のようにクラブなどで遊んでいる若者はより高いだろう。

 

ここでPCR検査というものに焦点を当てよう。

本邦でもPCR検査は毎日数千件のペースで行われている。

仮にPCR検査の感度・特異度が99%以上であったとすると、ここまで述べてきたことと矛盾する。

PCR検査は無論、感染が疑われる人が受けているはずだ。

もし感染力が私がここまで述べた通り非常に強い(例えば既に日本の感染者は1万人以上いる)ならば、PCR検査陽性例がもっと出てもおかしくはない。しかし、検査で陽性が判明するのは1日あたり10人に1人だ。

私の推測を信じるか、PCR検査の感度・特異度を信じるかはあなた次第だが、

これまで報道されてきている、再陽性例や再燃例などを見ている限り、そこまで信頼性が高いものとは私は思えない。

 

不安を煽るような記事をここまで書いてきたが、もちろん恐怖を味わせるために書いているわけではない。

では感染している可能性のある私たちがすべきことは一体なんであろうか。

 

それは自分が感染者だと思ってこれからを生きることだ。

もちろん、もし仮に感染していたとしても、発症しなければ自分が死ぬことはないし苦しむこともない。

しかしあなたの飛沫を受けることで隣の人は苦しむかもしれない。

幸いなことか分からないが、このウイルスに感染しても8割は軽症や無症状で、2割が重症化すると言われている。

だが若者だから死なないとか、基礎疾患がないから重症化しないなんて保証はどこにもない。

現に欧米では20〜40歳の重症例がかなり報告されている。

 

一つ投げかけたい問いがある。

過去にインフルエンザと診断された時、あなたはどのような生活を送っていましたか。

多くの人は自宅で静養していただろう。インフルエンザの場合、最初の2日間くらいは発熱と倦怠感で非常に苦しく家から出ることもままならないが、それ以降は熱も下がり徐々に体力も回復してくる。日本ではでインフルエンザに感染した場合感染症法により、解熱後2日間または感染後5日間は就業禁止である。熱が下がった時、どうしても食べ物がなくてコンビニやスーパーに行くこともあるだろう。

その時にマスクをしない人はいないだろうし、もしうつしたら申し訳ないという気持ちで外出し、最低限の時間と接触で帰宅するはずだ。

 

これから我々がどのように生活したら良いかはそういうことだ。

どんなに元気でも、無症状でも、自分が感染しているつもりでマスクをする、できるだけ人との接触を控える、ましてや不要不急の外出なんてすることはおかしい。

 

もちろん私自身もカフェや塾でアルバイトをしており、もし感染者だとしたらコーヒーを飲みに来るお客さんを、大切な生徒たちを苦しめる可能性だってある。

明るい未来が開かれるためにも、少しでもできることをしよう。

マスクや手洗いうがい、アルコール消毒、飲み会自粛だって、ちっぽけなことに思えるが、その行動1つで、1つの命を救えるかもしれない。